PROJECT STORY

バブルーン

「らくハピ マッハ泡バブルーン 洗面台の排水管」は、洗面台の排水口にノズルを押し当てて噴射すると、泡と一緒に汚れが勢いよく出てくるというインパクトのある動画がSNSで拡散され、一躍話題になりました。「お掃除を楽しんでもらう」がコンセプトのバブルーンがどのようにして生まれたのか、開発秘話を紹介します。

マーケティング部門

研究開発部門

EPISODE /01

楽しく簡単に、パイプ洗浄できる製品を!

マーケティング部門

当社のお掃除用品ブランド「らくハピ」は、「お客様の掃除の時間をもっと楽しく、さらには掃除を“らく”にして、暮らしを“ハッピー”にする」をコンセプトに、2017年に立ち上げました。立ち上げ当初は予防アイテムを多く展開していましたが、現在は洗浄アイテムも徐々に増やしており、お風呂やトイレ、キッチン、エアコンなど、さまざまな場所で使えるアイテムを展開しています。

掃除をもっとEASYに!掃除をもっとEASYに!

新製品のアイデア出しをする際は、お客様が単に効果を感じるだけでなく、掃除時間を短縮できたり、掃除という行為自体を楽しめるか、といった視点を大事にしています。特に、洗面台やお風呂、トイレといった水まわりの掃除は「面倒だし、できればやりたくない」といった声が多いです。さらに、「排水口から排水管はお掃除がしづらい、ちゃんと洗えているか分からない」といったアンケート結果もあり、楽しく簡単で、お掃除している効果や実感が目に見えるような製品をお客様にお届けすることができたら、と考えました。

また、当社は虫ケア用品やオーラルケア、入浴剤といったさまざまなカテゴリを展開しているため、さまざまな開発ノウハウがあります。その中でもエアゾール缶は、きめ細かい泡が出ることが分かっていたので、その技術を活かして今までになかった「エアゾールと泡を使ったパイプ洗浄剤」を作れないかと、製品開発に着手しました。

EPISODE /02

エアゾール+泡で汚れを落とす

研究開発部門

排水口や排水管を掃除する従来のパイプ洗浄剤はほとんどが「塩素系」で、化学反応で汚れを溶かして取り除くタイプの薬剤を使用しています。当社でも以前から研究していました。しかし、エアゾールと泡の組み合わせで試験を始めてみると、濃密な泡で汚れを柔らかくして剥がし、エアゾールの噴射力でしっかりと汚れを押し出すことができれば、塩素を使わなくてもパイプを洗浄できることがわかりました。また、塩素系の洗浄剤は、薬剤の臭いが苦手な方も多いです。せっかくパイプがきれいになっても、臭いが気になるのはイヤですよね。そこで、塩素を使わず、使用後も良い香りが持続するような処方で開発を進めることにしました。

さまざまな場所の排水口で試験を重ねる中、洗面台の排水口にエアゾールを噴射してみると、オーバーフロー穴から泡が勢いよく噴き出し、溜まっていた汚れも一緒に出てくることを発見。この体験は新しく、とても驚いたのと同時に、おもしろい!と思いました。このように私たちが体験した驚きや感動をお客様にも届けたい!という思いで、洗面台用として製品化を進めました。

洗面台用と決まってからは、パイプにしっかりと泡が密着し続けるような処方を検討。泡が排水管全体にしっかり行き届き、かつ汚れと一緒に泡がオーバーフロー穴から出てくるように、泡の勢いや濃密さ、発泡のタイミング等にこだわりぬいて開発しました。また、泡がしっかりとオーバーフロー穴まで行き渡るようにしたのは、「泡と一緒に汚れが出てくることで汚れが落ちたことを実感できる」ことだけが理由ではありません。オーバーフロー穴にたまった汚れを放っておくと、つまりの原因となるカビ等の菌が繁殖し、それらが排水管にまで広がって排水管が汚れやすくなってしまいます。オーバーフロー穴は、掃除のしにくさも相まってケアが疎かになりがちな場所ですが、実は洗う必要のある場所だったからこそ、バブルーンで簡単に掃除できることに価値があると考えています。

マーケティング部門

開発チームには、泡や音などで製品を使っていることを実感できるようにしたいとリクエストしていたので、オーバーフローから泡が出てくる処方を提案してもらった時は、私たちの狙いにぴったりだと思いました。

また、お掃除してきれいになったら、その状態をできるだけ長くキープしたいですよね。そこで、バブルーンには除菌効果もつけたいなと思いました。しかし、お客様が洗面台を長時間使えずに不便を感じることがないよう、「速攻洗浄(瞬時に汚れを洗い流す)」と、「つけおき除菌洗浄(しっかり洗浄・消臭・除菌をしたい場合は、水を流さず30分程度放置する)」という2つの使い方ができるようにしました。お客様の立場で「どんなパイプ洗浄剤があったらいいか」を考え抜いた結果が、製品に反映できたと感じています。

速攻洗浄 オーバーフロー穴から泡が出てくる使用量の目安 (3~7秒程度)で噴射をやめる。 オーバーフロー穴から出てくる! つけおき除菌洗浄 しっかり洗浄・消臭・除菌をしたい場合は、水を流さず30分程度放置する。

EPISODE /03

調べた洗面台は100種類以上!

研究開発部門

「らくハピ マッハ泡バブルーン 洗面台の排水管」の開発には、容器に関する2つの課題がありました。

1つ目は、容器と中身の相性です。エアゾールの容器として使われる金属缶は、中身の洗浄液に水分が含まれていると錆びてしまうことがあります。でも、すぐに錆びるような中身ではどれだけ洗浄効果が高くても製品化することはできないので、非常に気を使いました。何度も試験を重ね、理想的な容器と中身の組み合わせを探していきました。

2つ目は、ノズルの形状です。家庭用の洗面台は多種多様で、排水口の形状も口径も違います。「誰もが楽に簡単にお掃除できること」を実現するためには、どんな洗面台でも使えるようなノズルを作る必要がありました。他の研究員にも協力してもらいながら家庭の洗面台をたくさん調査しました。また、家庭の洗面台だけでなく、スーパーやホテルなどさまざまな施設を巡って洗面台を見て回ることも行いました。最終的に排水口の形状や口径、排水管の流路の様子を調査した洗面台は100種類以上に及びました。

らくハピ マッハ泡バブルーン 洗面台の排水管 試験のために手作りした洗面台で試験する様子
試験のために手作りした洗面台で試験する様子

らくハピ マッハ泡バブルーン 洗面台の排水管 試験のために手作りした洗面台で試験する様子
試験のために手作りした洗面台で試験する様子

また、試験のために手作りでオリジナルの洗面台を用意しました。透明なボウルと排水管で製作し、泡がどういう挙動をするのか確認するために大活躍しました。
最終的に試作したノズルは、30種類にのぼります。そこからひとつのノズルに絞り込むことができました。

EPISODE /04

シンプルなコミュニケーションを続け、ついにSNSで話題沸騰!

マーケティング部門

こうして、「らくハピ マッハ泡バブルーン 洗面台の排水管」は、2019年8月に発売しました。大手企業が競い合っている住居用洗剤のカテゴリでは、たとえ目新しい製品だとしても、他社品と同じ売り方をしていては埋もれてしまいます。バブルーンは、知ってもらえれば「使ってみたい!」と思ってもらえる製品だという確信があったので、発売当初から製品特長をありのまま見せるプロモーション展開をしてきました。

具体的には、泡が出てくる様子を撮影した動画をSNSに投稿したり、TVCMを流したり、サンプルを配布したりといったことですが、勢いよく泡が出てくるといったインパクトのある製品特長をありのまま伝えるコミュニケーションを一貫して行なっていました。

また、販売促進の面でも、営業部員がお取引先に動画を見せて説明したり、EMAL*が売り場で目立つ販促物を展開してくれたり、それぞれがバブルーンの良さを伝えるために動いてくれました。

そうした地道な努力が実を結び、発売から半年ぐらいたったころ、TikTokでバブルーンへの注目度が一気に高まり、売り上げを一気に伸ばすことができました。その後も、人気のある動画クリエイターが動画内で自発的に紹介してくださったり、テレビ番組にたびたび取り上げられ、売り上げは順調に伸びています。

*お客様目線で独創性のある売り場づくりや店頭販促を行うスペシャリスト

EPISODE /05

他社にはない、オリジナリティのあるお掃除用品を

マーケティング部門

バブルーンは、実際に使ってみたお客様がSNSに投稿してくださることが多く、たくさんの方に興味を持っていただけている実感があります。しかし、「SNSで注目されているのを見て買いに行く」という盛り上がりはやがて収まるでしょう。一方で、バブルーンをまだ知らない方は多く、さらに認知度を上げていける、まだまだ伸びしろのあるアイテムだとみています。バブルーンが単なる「おもしろい製品」というだけではなく、パイプ洗浄剤として優れている点もしっかり伝えていくのが今後の課題だと考えています。

お客様により良い製品を提供していくために、マーケティング部門と研究開発部門は常に連携しながら製品開発を進めています。これからも、「掃除ばかりに時間を使えないけれど、部屋はいつもきれいにしておきたい」というお客さまのニーズをかなえつつ、他社にはないオリジナリティのあるお掃除用品をお届けしていきたいです。

  • ※本記事は、2022年9月に取材した内容です。

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