私は2016年に入社しました。大学では新薬開発の研究をしていましたが、就職を考えたときに「生活に密着した製品を作りたい」という気持ちが芽生え、製品をよく知っている企業で働きたいと思うようになりました。興味を持ったのが、小さい頃から製品を使っていて、親しみを持っていたアース製薬です。
アース製薬の研究所がある兵庫県赤穂市は地元で、ガラス張りの研究所をよく目にしていたので憧れがありました。入社の決め手は、就職活動の時にオフィスを見学して感じた風通しの良さ。「オープンドアポリシー」を掲げていて部署やグループに関係なく、自由な発想で意見交換をしていたり、常に人が行き来したり会話したりしているのを見て、とても魅力的だと感じ、「ここで仕事をしたい」という気持ちが一層強くなりました。
入社から4年ほどは、国内向けの虫ケア用品と入浴剤を開発するグループに所属しました。入浴剤グループでは、どういう香りにするかなどコンセプトを決めると、香料メーカーからさまざまな香りを取り寄せて、改良を重ねながら何通りもの調合を行います。香りを言葉で表現することはとても難しく、例えば、「シトラス」といってもレモンのように爽やかさが強いものと、オレンジのようにちょっと甘さがあるものでは違いますよね。その違いや香りの特徴を表現できないと、みんなで同じゴールを目指すことができません。
そこで、先輩が開催してくれる「香りの勉強会」に積極的に参加して、香りに関することを一から学びました。さらに、他の研究員のテーマにも関わって、どんな香りを作ろうとしているのかを理解し、たくさん評価をするようにしました。最初は自信がありませんでしたが、回数をこなしていくうちに、「この香りはこういう風に表現すれば伝わるんだ!」とわかるようになりました。感覚と言葉をうまくリンクさせられるようになっていったんです。そうやって、自分の感覚を他の研究員や香料メーカーにも伝えられるように、具体的に表現する方法を身につけました。
勉強している期間も、周りのメンバーに気軽に相談できたので心強かったです。気になったことをどんどん質問していくと、「この香りはこうやって表現するといいよ」とアドバイスをもらえました。入社前の印象通り、風通しが良くて、「みんなで作り上げていこう」という思いがある会社だと感じました。その思いの先にあるのは、お客様に感動していただくことです。世の中にたくさんある製品の中から選んでいただける製品を開発できるように、私も他のメンバーも、日々研究にまい進していました。
2020年からは、海外向けの製品を開発する「グローバル研究部」に所属しています。グローバル研究部といっても、製品の中身を研究するだけでなく、製品企画や設計から販売調査まで、幅広い業務を担当しています。マルチなアンテナを持っていることが望まれる部署なので、いろいろなことに好奇心を持って挑戦できる人が向いているかもしれません。
グローバル研究部の業務は、基本的には1年の半分くらい現地に出張して、実験・検証、店舗の視察、ライバル会社製品の分析などをするメンバーも多くいます。製品パッケージや広告にどのような表現・差別化ができるかを考えて製品設計に落とし込むのもグローバル研究部の仕事です。国によって法律が異なるので、日本の製品と同じ効果を持つ製品を展開するにしても、処方やパッケージへの記載方法が変わってきます。だから、海外向けの製品を作るためには、現地での情報収集が欠かせません。法改正への対応も必要で、現地のライバル会社が法改正にどう対応しているか調べるのも重要な仕事です。
現在は、主に東南アジア向けの虫ケア用品と芳香剤を担当しています。ところが、グローバル研究部に異動後すぐにコロナ禍になってしまい、現地出張が難しくなったんです。そこで、現地に行けなくても、他の手段で現地の情報を手に入れるように工夫しました。オンラインミーティングは頻繁に実施していますし、時には現地代理店のバーチャルツアーに参加することもあります。あと、現地子会社のスタッフに最新情報を小まめに送ってもらっています。スーパーや小売店の売り場写真は重要で、現地でどんな製品がよく売れているのか、シェア率の高い製品はアース製薬の製品と何が違うかなど、写真を見ながら何度も現地スタッフと意見交換をしました。
日本と東南アジアでは、同じ種類の虫でも大きさも薬剤への耐性も生息地も違います。それに、住環境も。日本の住宅は高気密で、東南アジアの住宅は開放的。日本の住宅で効果があることを確認した製品でも、現地の住宅では同じ効果を得られない場合もあります。それに、香りの感じ方や考え方も日本とは異なりますね。日本人が「良い香り」と感じていても、東南アジアの人には「物足りない」と言われてしまうこともよくあります。現地で一般の方にモニターをしてもらって、開発に生かしていますが、自分自身も「日本人感覚のまま」でいてはいけないということを学びました。
東南アジア向けの虫ケア用品を開発するためにデータを積み上げてきたので、製品化することが直近の目標ですね。アース製薬は、日本国内では虫ケア用品のトップシェア企業ですが、海外に目を向けてみると、国によってはほとんど知られていません。日本でこれだけ支持されているんだから、その技術力は海外でも通用するはず。乗り越えるべき壁は高いと思いますが、世界中の人々の暮らしをもっと良くするために、広く海外に展開して、世界中で愛される製品を作りたいと思っています。そのためにも、現地を知る努力を続けていきます。通訳を介さずに現地の人と会話できるように、語学もしっかりと勉強していくつもりです。自分の言葉で細かいニュアンスの表現をして、現地のニーズもしっかりキャッチできるようになりたいです。
アース製薬は「挑戦させてもらえる会社」です。何事も、やってみなければ結果はわかりません。やってみれば、もし失敗したとしても、何かしらのアイデアが生まれます。「失敗してもいい」と言葉で言ってもらえるだけでなく、実行できる環境が整っているのが魅力ですね。挑戦を恐れないタイプの人が多いですが、バラバラにやっているわけではなく、周りの人がちゃんとサポートしてくれます。一人で黙々と研究するよりも、チーム一丸となって作り上げていこうという企業風土があります。チームで雑談をしたりして、適度な息抜きもできるので、私もチームメンバーにだいぶ助けられました。
就職活動中は、大学で研究してきたことを生かしたいと考えるでしょう。でも、大学の研究にこだわらなくてもいいと思います。どの部署に配属されても楽しめるのがアース製薬です。自由に挑戦できる舞台が用意されている会社で、ぜひ挑戦していってほしいと期待しています。
※記載の所属・業務内容は取材時点の内容となります。
実家が近いので、休日は実家にいる愛犬と過ごすことが多いです。愛犬の可愛い行動や表情に癒されながら、何気ない瞬間の写真をたくさん撮っています。愛犬の写真が多すぎて、仕事の資料用に撮影した写真を探すのに時間がかかってしまうこともありますね(笑)