アース製薬

社外取締役メッセージ

ダイバーシティから生まれる
活力にさらに期待

社外取締役に就任される前と後で、アース製薬に対する印象は変わりましたか。

日本での暮らしが長く、幼い頃に住んでいたハワイでも「ごきぶりホイホイ」を使っていたので、アース製薬のことは一消費者として知っていました。CMや商品名がユニークで「商売上手な面白い会社」という印象だったのですが、社外取締役に就任して分かったのは、人を助けたい、地球を守りたい、という一人ひとりの熱い想いが営業力や商品力を生み出している、ということです。

単に商品を売るための企業活動ではなく「生命(いのち)と暮らしに寄り添い、地球との共生を実現する。」という経営理念通りの企業活動を目の当たりにした今、アース製薬は「本物」だと実感しています。

アース製薬の商品については
どのような感想をお持ちですか。

私の現在の住まいは、築年数の古い木造家屋で周りは自然が豊かな一方で長年ムカデに悩まされていたのですが、アース製薬のムカデ用商品に出会ってからは、夜でも安心して素足で過ごせるようになりました。近所の方々ともよく虫対策の話題になるので「これを使うといいですよ」と営業担当者のようにおすすめしています(笑)。

私は「虫ケア」という言葉が大好きなんです。虫の存在を認めつつ、人間を守る。要は「人間ケア」でもあるんですね。日本の子どもたちがアリやダンゴムシといった身近な虫に親しむ様子は素晴らしいなと思うのですが、そうした日本人が大切に育んできた精神を多くの商品から感じ取れます。

アース製薬の商品についてはどのような感想をお持ちですか。

サステナビリティ活動に対する評価をお聞かせください。

環境に配慮した製品開発をはじめ、人財育成や社会貢献など、さまざまな視点でサステナビリティに積極的に取り組んでいることをもっとアピールしてほしいと思っています。たとえば、花王株式会社様との協業で商品化した蚊駆除スプレー。化学合成殺虫成分を使わず、翅(はね)を濡らすことで蚊の動きを封じるという人にやさしい商品ですが、これをデング熱など蚊が媒介する感染症の多いタイで発売し始めました。日本の企業でありながら日本中心ではなく、各国の課題やニーズを軸に考える。その姿勢はまさにサステナビリティだと思います。

声高に自慢する必要はありませんが、取り組んでいることや強みを社内外の人々に向けて発信し理解してもらうことでファンが増え、エンゲージメントも高まります。すでに川端社長がさまざまなメディアで語られていますが、お話がお上手なので、そうした機会をもっと増やしていただければと思います。アジア、中でも日本に、ヨーロッパやカナダとともにサステナビリティ分野のリーダーになってほしい、という願いも込めての提案です。

ガバナンスにおける課題についてはどのようにお考えでしょうか。

ガバナンスにおける課題については
どのようにお考えでしょうか。

何かを決定した時に、その内容自体はまったく問題ないのですが、決定に至るまでのプロセスが少し見えにくいと感じることがあります。定量的な情報は十分出しているので、今後はプロセスなど定性的な情報も言語化し共有してもらえれば、株主総会で私たち社外取締役に質問があった場合にもお答えすることができますし、言語化することが当たり前になれば、ガバナンスは自ずと強化されていくと思います。

私は、コーポレート・ガバナンスにおける社外取締役の役割は「コントロール」ではなく、「パートナー」だと考えています。「それはやってはいけません」と厳しく監督することももちろん必要ですが、外部の協力者として内部とは異なる目線で「ここを工夫したら、もっと効率が上がるのではないでしょうか」といった発言をすることが大事だと思っています。

グローバル市場で活躍するリスクとその対応について教えてください。

リスクを感じるのは、現地のパートナー選びです。日本人は相手の印象が良いと「嘘をつかない人」「信頼できる人」と思いがちですが、チームのメンバーと議論したり、それこそ外国人の社外取締役に相談したりと、徹底的に掘り下げて誰と組むのかを決めてほしいと思います。どれだけデューデリジェンスに力を入れても吸収合併後に隠れていた問題が次々に発覚する、ということは実際にあることです。

日本では忘れ物や落とし物が戻ってくることは珍しくないけれど、海外では「戻ったらラッキー!」という気持ちになり、戻ることが当たり前ではありません。そうした違いは今や多くの人が理解していますが、実はもっとディープな違いがたくさんあって、そこをなかなか予測できない。日本ではあり得ないようなことが海外では起こる可能性がある、ということへの備えがリスク対応であり、今後、海外進出が加速する中で、グローバル人としての鋭い目を養う必要があると感じています。

日本企業の人権意識が課題となっています。アース製薬が留意すべきことは何でしょうか。

まず、私たちの会社でセクハラやパワハラは起こらない、とは絶対に思わないこと。そして、誰もがものを言いやすい風通しの良い風土づくりをすること。それは、多様性を尊重する、ということでもあります。私は、ダイバーシティの本質は、外国籍の人財を採用したり、障がい者や女性管理職の比率を高めるといった表面的なことではなく、お互いの考え方や経験値の違いを認め合い、個性を引き出し合うことだと考えています。

アース製薬には、ダイバーシティから生まれるパワーを活かして誰も思いつかないような商品開発にチャレンジしていただきたいですし、新たなマーケットの開拓や新たな組織づくりにも期待しています。

社外取締役

ジャーマン・ルース マリー

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