トップメッセージ
事業を通じた社会課題の解決に取り組み続けて100年、
次代への一歩を皆様とともに
「変化への対応」をキーワードに
社長就任以来、ずっと言い続けているのが「変化への対応」です。どの企業も同じではないかと思いますが、今の時代、変化に対応せざるを得ません。その対応が正解なのか失敗なのか、すぐに答えは出ませんが、まずは勝算の仮説を持って取り組んでみる。一番問題なのは、失敗する可能性があるから、どうなるのか分からないから何もしない、という選択をすることです。本当は立ち止まってじっくり考える必要もあると思うのですが、これだけ周りの変化のスピードが速いと、なかなか難しいものです。
「変化への対応」を掲げる中、2024年度の業績は増収増益となり、中期経営計画の最重要テーマとしていた海外市場も順調に推移しました。常に世界情勢を注視し、関税や為替などが業績にどのような影響を及ぼすのかを見極めていますが、一方ではプラスでも一方ではマイナスになる、というように、物事というのは多方向に動くものであり、トレードオフの関係にあります。全方位的に良し、というユートピアのような会社はないので、総合して少しでもプラスになっているのであれば、十分だと考えています。
企業活動=サステナビリティ活動
2021年に策定したサステナビリティ基本方針をもとに、環境(E)、社会(S)、ガバナンス(G)の3分野で持続可能な社会の実現に向けた取り組みを推進しています。
環境に関しては、2030年にCO2排出量(Scope1, 2)を46%削減(2020年比)するという目標値を掲げており、今後は自社以外のCO2排出量も対象となる「Scope3」の削減目標も設定していきます。ハードルは高いのですが、これまでの取り組みをより深化させていく段階に入るのは良いことですし、同じ課題に直面している関係各社と協力し合いながら進めていきたいと思います。また、社会に関しては、虫が媒介する感染症の予防に貢献しています。物流や人の移動のグローバル化、地球温暖化にともなう虫の生息域の拡大などで、マラリアやデング熱といった感染症のリスクが増大しており、その対応策に当社の技術や製品が生かされています。
経済的価値と社会的価値を両立するCSV経営、事業を通じた社会課題の解決は、創業以来、当たり前に続けてきたことであり、そういう意味では、当社の企業活動はサステナビリティ活動そのものだといえます。
現地のニーズに合わせた虫ケアの提供
生物多様性の観点からも「殺虫」ではなく「虫ケア」を提唱する中で、素肌と同じ弱酸性の「はだまも」や天然ハッカ油を使用した「ゴキブリよけ徹底ガード」など、人にも環境にもやさしい虫よけ製品の市場拡大に取り組んでいます。
なお、製品の有効成分に関するレギュレーションは各国で異なるため、これが正しい、というものはありません。例えば、同じ東南アジアでも、タイの成功パターンがベトナムでは通用しない。それぞれの国の法令(安全基準)や住宅事情、文化的背景などに合わせる必要があり、だからこそ、製品の担当者には現地に直接足を運んでほしいと思います。マーケティングの部署から提供されるアンケート調査結果なども貴重な資料ですが、それが本当かどうかは自分で見聞きして答え合わせをすることが大切です。
健康経営を追求し、さらなる成長を
ステークホルダーの中であえて優先順位をつけるとすれば、やはり一番は従業員です。当社では従業員の健康管理を重要な経営課題と捉え、2019年に「アース健康宣言」を制定しました。このたび「健康経営銘柄2025」に初めて選定され、「健康経営優良法人〜ホワイト500~」は5年連続の認定となりましたが、重要なのは毎年選ばれることではなく、取り組みの内容をより深掘りして充実させていくことです。ただ、その結果として評価を得るのであれば、それに越したことはありません。
2025年は会社設立100周年の節目となります。従業員だけでなく、すべてのステークホルダーの皆様に心から感謝申し上げるとともに、この先も持続可能な成長と企業価値の向上を目指して、歩み続けていきたいと思います。