アース製薬

経営統括担当役員メッセージ

サステナビリティは経営戦略の基盤であり続ける

経営統括本部として、サステナビリティへの取り組みをどのように位置付けていますか。

当社にとってのサステナビリティは、単なる環境保全への取り組みの一領域ではなく、 経営における基盤そのものです。これまでは、経営統括本部内に設置された サステナビリティ推進部が中心となり、ESGの観点から全社的な取り組みを進め、 社会から求められる基準への適合や外部評価機関からの一定の評価獲得といった成果を積み重ねてきました。
こうした基盤の上に立ち、2026年にはサステナビリティ推進部を社長直轄のCEO特命コーポレート戦略室へ移管しました。
これは、サステナビリティの重要性を社内外に対してより明確に示すとともに、経営の中枢機能と一体で推進していくという意思の表れです。 経営統括本部においても、引き続き経営戦略、M&A、財務、ICT、及びDXといった各機能・活動とサステナビリティを連携させながら、 新たな経営課題の可視化とその解決を加速させていきます。サステナビリティは、 企業価値向上に向けた意思決定を支える重要な指標として、今後一層その役割を高めていきます。

新しい中期経営計画では、非財務面についてどのような議論が行われていますか。

現在、2027年度から開始する新たな中期経営計画の策定に向け、非財務活動の整理とマテリアリティの見直しを進めています。特に重要なテーマが、シングルマテリアリティからダブルマテリアリティへの移行です。サステナビリティを独立した取り組みとしてではなく、事業戦略の中に組み込み、財務・非財務の両面から価値創造を図る「ビルトイン型」の経営へと進化させていきます。外部環境の変化や揺り戻しが激しく、サステナビリティの本質的価値が問われる中、人々の日常生活や自然資本と密接に関わる当社の事業特性を踏まえれば、この移行は必然であると認識しています。

重点的に取り組まれているテーマをお聞かせください。

一つ目は、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の推進です。女性活躍の促進に加え、エンゲージメント調査を継続的に実施することで、組織課題の可視化と改善を図っています。すべての従業員が自然体で働きやすい環境を整備することは、持続的成長の基盤です。また、取締役会においても国籍や性別にとらわれない活発な議論が行われており、ガバナンスの実効性向上につながっています。
人財という面では、DXやAIの活用も重要な経営テーマです。働き方の変革と競争力強化を両立させるため、デジタルリテラシーの向上やAI活用環境の整備を進めています。データドリブン経営の高度化に向けては、データ利活用の質の向上が課題であり、これを解決するためのデータ基盤の整備と新たな技術実装にも取り組んでいます。
環境分野では、当社の事業特性を踏まえた独自の取り組みとして、生物多様性の観点から外来生物対策を推進しています。また、化学品を多く扱う企業として、環境負荷低減と持続可能な調達の両立にも注力しています。
国内サプライヤーの構造変化が進む中、マルチソーシングの最適化や新たなオーガニック領域の探索を進めています。近年の事業統合も、異なる強みの融合による新たな価値創出を目指したものです。

グループ全体のガバナンス強化に向けて取り組まれていることをお聞かせください。

グループガバナンスの進化・高度化に向けては、M&A後のPMI・統合先との企業文化の融合を重視しています。現地への積極的な訪問や対話を通じて実態を把握し、サステナビリティ、法務、IT、人事など各機能が連携して支援を行っています。こうした取り組みを支えるデジタル基盤の整備も進め、グループ全体での情報共有と意思決定の質の向上を図っています。
当社はプライム上場企業であり、コーポレートガバナンスコードなども高い基準に対応していくことが求められます。ガバナンスの強化を図ることが、業績を良くしていく上でも重要なことだと考えています。

非財務面での取り組みは、企業価値向上にどのように結びついていくのでしょうか。

財務と非財務のコネクティビティ強化も、重要な経営課題です。非財務活動がどのように財務価値へと結びつくのかを明確化し、説得力のあるエクイティストーリーとして発信していきます。これにより、ステークホルダーや従業員の理解を深め、企業価値向上へとつなげていきます。
2020年には日本MA-T工業会を立ち上げ、100社以上の企業を含む産官学での連携を進め、技術開発や社会実装にも挑戦しています。現時点では定量的成果の可視化は途上にあるものの、環境負荷低減や新技術創出といった観点で大きな潜在価値を有しています。今後はこれらをアウトカムとして明確に示し、企業価値との連動を強化していきます。
さらに、TCFDおよびTNFDへの対応を進め、気候変動や自然資本に関する情報開示の高度化にも取り組んでいます。環境省の「自然共生サイト」にも認定された「アース坂越の森」をはじめ、自社拠点における生物多様性保全活動などを通じて、自然との共生に向けた姿勢を明確に示していきます。

ステークホルダーに向けて、メッセージをお願いします。

当社は「生命(いのち)と暮らしに寄り添い、地球との共生を実現する。」という経営理念、「地球を、キモチいい家に。」というコーポレートスローガンのもとで事業を展開しています。サステナビリティはまさにその中心に位置するものです。今後の中期経営計画においても、この理念を起点に、すべての従業員が自信を持って共有できる戦略として具現化し、持続可能な社会と企業価値の向上を両立していきます。さらに、従業員一人ひとりの行動変容を促し、現場レベルからの価値創出を積み重ねることで、サステナビリティ経営を実効性のあるものへと深化させていきます。

上席執行役員
経営統括本部 本部長 郷司 功

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