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開発秘話:モンダミン

~試行錯誤で作り上げたトップシェア~

日本に新しい習慣を

1980年頃のこと、社長(当時)から研究部に、ある製品の開発が提案された。それはアメリカでよく売れている「洗口液」だった。

ハミガキしか知らなかった当時の日本に、新しいオーラルケアの習慣を取り込もうと考えたのだ。当時オーラルケアという概念自体、まだ浸透していない時代だった。液体で口をすすぐ、いわゆる「クチュクチュタイプ」の「洗口液」は、一部輸入品があったものの、日本ではほとんど知られていない状態だった。オーラルケアの先進国アメリカで、すでにこれが生活習慣になっているのを見た社長は、「きっと将来、これは日本の市場でも認められ、習慣として受け入れられていくだろう」と確信していた。

かくして、製品化に向けて研究部に「日本人の口に合う洗口液をつくる」という大命題が出されたのだった。

新しい領域への挑戦

過去にまったく経験のない領域での開発は、スタートから苦労の連続だった。

まず、最初のアプローチは、海外の製品を研究することから始まった。次に処方、効能、味、防腐性、さまざまな角度から日本人向けへのアレンジが行われた。また日本の市場では前例のない製品であったために、クリアすべき基準そのものから構築していかなければならないということも開発担当者を困らせた。

とくに難しかったのが、味の基準をどこに置くかであった。海外では味覚的にまずくても効果がありそうならばよしとされるが、日本では、その味自体がまずければ使ってもらえない。日常生活の習慣に取り入れてもらうことを目標としている以上、まずいものを薬のように無理やり使うのではなく、気持ちよく毎日使いたくなるような味にしなければならない。ここを最後までこだわり抜いた。

起死回生のマーケティング

1987年、日本人の口に合わせたペパーミント味の「モンダミン」第1号が発売された。しかし、市場の反応は冷ややかだった。生活習慣としてはまったく広まらず、口臭防止のエチケット用品としてしか受け取られず、社内でもいつ撤退するかと噂されることもあった。
そこへ、企画部から「モンダミン」の起死回生の一打として「洗浄効果」を前面に打ち出す販売戦略が提示された。研究部も製剤の洗浄効果を高めてそれに応えた。見た目には何ら変わってはいないにもかかわらず、「洗浄効果」としての切り口をより明確にしたことで、おもしろいように製品が動き出した。

この時すでに、発売から5年以上が経っていた。口臭予防というキャッチフレーズで売っているかぎり、今の「モンダミン」はなかったであろう。前面に洗浄効果をうたったからこそ、お客様から納得され、当初のねらいどおり日常生活の習慣としてようやく浸透し始めたのである。

洗浄効果の研究

他社の洗口液がハミガキと併用するのに対して、モンダミンは単独で洗浄効果を持つ洗口液として差別化をはかり、ついにこのタイプではシェアナンバー1になった。

「洗浄効果」を訴求する以上、より洗浄力を高めていくことが研究の課題である。なぜ洗浄効果にこだわるのか。虫歯・口臭予防は、口の中を殺菌することで可能だが、それをさらに突き詰めて、細菌が繁殖する栄養素になる食べ残しを、洗って除去しようという考えが根底にあった。

効果をデータで見るのは簡単だが、実感するのは難しい。口の中と同じような汚れを人工的につくり、入れ歯につけて試験をし、洗浄力を見極めた。そのうえで、実際に自分たちの口の中でも試してみた。青のり、焼肉の油、ご飯を噛んだ後のでんぷん質など、食べ残しになりうる様々な素材を想定し、効果を確認しながら改良を進めた。

技術の蓄積

「お口の中の健康を洗って守る」というコンセプトに基づいて、研究部では現行品とはタイプの異なるモンダミンの開発も同時に進めていた。汚れの付着を防止する洗浄成分として採用されたTPP(トリポリリン酸)は、新たなモンダミン用に歯垢抑制成分としてスクリーニングしていたものだった。この技術の蓄積が、リニューアルに大きく役立つこととなった。

その他にも、ブームに先行してキシリトールを配合できたのも、虫歯予防のモンダミンというストックがあったからだ。低刺激のセンシティブも、それ以前に発売されたヘビーユーザー用のストロングミントの開発過程で、逆のパターンとしてすでに構想ができていたものである。

また、口腔衛生に対する関心の高まりから、より効果のあるものを求められると、 「原因菌を殺菌し、歯垢を防ぐ」医薬部外品の薬用モンダミンを2003年に発売した。

2015年には、モンダミン史上最多の7つの効果(むし歯予防、歯肉炎予防、出血予防、口臭予防、歯垢付着予防、口中浄化、口中爽快)で子供から大人まであらゆる世代のお口のトラブルを防ぐ「モンダミンプレミアムケア」を開発し、好評を得ている。

このように長年の研究によりストックされたさまざまなモンダミンの試作品の存在が、タイムリーなマーケティングと製品展開を可能にし、結果としてモンダミン製品アイテムの充実につながっている。
モンダミンが習慣として定着してきた今、成分が変わっても味へのこだわりが変わることがないように、開発担当者はいつも目を光らせている。

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