キケンから守る取り組み
キケンから守る取り組み
虫媒介感染症予防の推進
取り組む背景
2023年のマラリア感染者数は推定2億6,300万人(前年比4.4%増)、死亡者数は59万7,000人(同1.8%減)と報告されています(「世界マラリア報告書2024」より)。また2019年、WHOは地球規模で注力すべき10の健康危機課題に、蚊媒介感染症であるデング熱疾患を掲げています。近年の物流や人々の移動のグローバル化に伴い、熱帯地域の感染症も全世界へのリスク拡大が進んでいます。地球温暖化に伴う虫の生息域の拡大や外来生物の増加により、虫が媒介する感染症のリスクは増大しています。当社は、虫を媒介して罹患する恐れのある感染症(マラリア、デング熱等)の予防に貢献します。ステークホルダーの皆様の中には、マラリア、デング熱などをはじめとする虫による感染症や虫によるさまざまな被害が流行・予想される地域で活動されている方もいらっしゃいます。これらの世界的な健康課題の解決に対して、当社の知見や技術、製品を活かして積極的に取り組んでいます。
「殺虫剤」から「虫ケア用品」へ呼称変更
当社は虫媒介感染症のリスクから人を守るための製品を開発していますが、「殺虫剤」という名称に含まれる「殺」という文字が、「人体に有害」「使うのが怖い」というネガティブな印象を与え、使用をためらう方が一定数存在することを認識しています。そこで、名称によるネガティブなイメージを解消し、デング熱やジカ熱をはじめとする虫媒介感染症からケアしてほしいという思いから、製品の呼称を「虫ケア用品」に変更しました。
この呼称変更に際して、小売店、関係各所へのご理解を求めるとともに、消費者に向けた情報発信を行い、正しい感染症ケアの知識を広めるための活動を推進しています。

売り場案内の「虫ケア用品」表示
虫ケアステーション
マダニが媒介する感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」の感染者数が全国的に増加傾向にあり、蚊やダニが媒介する感染症への警戒心が強まる中、当社では虫ケア啓発活動として、「虫ケアステーション」をアウトドアイベントやスポーツ競技の会場に出展しています。
「虫ケアステーション」は、蚊やダニが媒介する感染症のリスクを紹介し、虫よけ剤による予防と効果的な使い方を提案するための当社オリジナルのブースです。当ブースでは、虫よけ剤「はだまも」を実際に使いながら正しい使い方を伝え、時には害虫や被害症例を展示することで虫ケア啓発を行っています。
また、公立公園等では当ブースの常設も進めており、屋外施設の安全・安心な運営に向けて活用されています。虫媒介感染症対策の啓発は当社の重要な使命であり、少しでも被害の減少に貢献できるよう、今後さらに「虫ケアステーション」による啓発活動を拡大していきます。

虫ケア出前授業
感染症を媒介する虫など、さまざまな「キケンな虫」について、正しい知識と対策を学ぶことは非常に大切です。そこで当社は、主に子どもたちを対象に、「蚊学のおはなし」と題した授業を科学技術館等で開催しています。授業の中では、「キケンな虫」も生態系の一部を担う大切な生き物である事に触れながら、「キケンな虫」の生態や、対策として「虫よけ剤の正しい塗り方」等を説明しています。授業での学びを通して、子どもたちの健康を守り、安心・安全な野外活動・日常生活への寄与を目指しています。

アース虫ケアセミナー
「正しい知識で正しく虫ケア」を普及させるための啓発活動として、毎年「アース虫ケアセミナー」を開催しています。今年で5回目を迎え、東京と大阪の2会場での開催に加え、オンラインでも多くの方にご視聴いただきました。現代社会では、グローバル化が進行し、「虫媒介感染症」の懸念が増しています。また、最近では「スーパートコジラミ」のニュースも頻繁に取り上げられ、多くの方が不安を感じているかもしれません。さらに、日常生活の中でも、さまざまな虫による問題でお困りの方も多いかと思います。本セミナーでは著名な先生方による講演に加えて、社員による害虫相談を実施し、「虫ケア用品」の紹介を行うなど、来場者とのコミュニケーションを大切にし、安全で快適な生活に役立つ情報を提供しています。今後も学識者との連携により信頼性の高い情報発信を取り入れた虫ケア啓発活動を進めていきます。

海外での取り組み
ASEANでの事業展開
当社がASEANのタイに進出して約40年。当時は平均賃金や衛生意識がまだ低かったことや、国民の90%以上が仏教徒であるため、殺生を嫌うという文化的背景があり、さらに、タイ語で、殺虫剤と農薬が同じ言葉であることから、農薬の誤飲に関する死者が出たというニュースが出るたびに、当社の虫ケア用品に対してネガティブなイメージが付くこともありました。
当社は、約40年間にわたる現地に根付いたマーケティング活動を通して、殺虫剤は農薬とは違って家庭向けに安全に作られているということを、現地にいる300名以上の営業担当者やプロモーション担当者がさまざまな形で啓発し、安心・安全な製品であることを訴え続け、2023年、殺虫剤はタイにおいて、市場第2位のメーカーになりました。近年、タイのみならず東南アジア諸国ではデング熱に罹患する人々が増加しています。その東南アジアからの輸入感染を含め、日本やアメリカ、フランスなど世界120カ国以上でデング熱の感染が報告されています。
当社とEarth(Thailand)Co., Ltd.は、SDGsゴール3「すべての人に健康と福祉を」を共通のゴールとしました。SDGsのターゲット3.3の2030年までにマラリアおよび顧みられない熱帯病といった伝染病を根絶する、に寄与すべく、地元の公衆衛生局や教育省とともに販売および社会貢献活動を通して蚊媒介感染症予防のための正しい知識を広められるよう努めていきます。
タイでのデング熱撲滅の取り組み
アース(タイランド)は「感染症トータルケアカンパニーとして、世界の人々の安全で快適な暮らしを実現する」をスローガンに、「Earth CSR Project」として社会貢献活動に取り組んでいます。デング熱撲滅を取り組みの主な活動とし、虫ケア用品をサンプリングするとともに「デング熱予防」の啓発リーフレットを配布し、感染の怖さと予防の大切さを広めています。病院や学校、献血センター、市場、小売店店頭でのサンプリングのほか、学校ではデング熱予防の勉強会も開催しています。

タイ現地における啓発活動