サプライチェーンマネジメント
サプライチェーンマネジメント
環境認識と基本的な考え方
アース製薬は、事業活動を通じて、地球環境との共生と社会の持続可能な発展を目指しています。そのためには、事業の基盤となるサプライチェーン全体での取り組みが不可欠だと考えています。当社の事業は世界中に広がり、原材料や資材のサプライヤー様、物流業者様を含むお取引先様は多岐にわたります。今日の国際社会では、気候変動対策、環境保護、人権尊重、そして労働環境の改善といった課題への対応がますます重要になっています。これらの課題は、当社の活動だけにとどまらず、原材料の調達から製品がお客様に届くまでの全てのプロセスで取り組むべきだと認識しています。
当社は、こうした社会の要請に応え、地球との共存を実現するために、品質や安定供給といった従来の基準に加え、環境、安全衛生、人権等に配慮したサプライチェーンの構築を重視しています。これを明確に示すため、「サステナブル調達方針」を定めました。それを基に、「購買基本方針」や「物流基本方針」を策定し、購買や物流の各プロセスにおいて、持続可能性を追求する責任を果たすことを推進しています。
サプライチェーン全体でサステナビリティを向上させるために、私たちはお取引先様にも協力をお願いしています。具体的には、詳細な行動指針を定めた「お取引先様行動指針」を策定し、全てのお取引先様にその遵守を求めています。これらの取り組みは、社会の変化や新たな課題に応じて、常に最新の状態に更新し続けます。
サステナブル調達方針
アース製薬は、全てのお取引先様に対し公正・公平で倫理的な関係を保ちながら、人権・安全衛生・環境に配慮した購買を行います。
また、お取引先様との信頼関係に基づいたパートナーシップを構築し、相互で持続的に成長しながら、社会の共生を目指します。
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購買:法令・規範遵守
私たちは、国内外の法令・国際的条約や社会規範を遵守し、企業倫理に基づいた購買を行います。 -
購買:製品の安全性・品質
私たちは、製品の安全性と品質を確保するため、要求品質を満たす原材料の購買を行います。 -
購買:公正取引
私たちは、全てのお取引先様に対して公平に窓口を開き、公正な購買を行います。 -
情報セキュリティ
私たちは、調達活動に関わる秘密情報・個人情報を厳格に管理します。 -
サステナビリティへの取り組み
私たちは、お取引先様とともに、人権擁護(差別禁止・長時間労働の排除・労働安全衛生の向上・紛争鉱物の調達禁止等)・環境配慮(生物多様性の保全・森林破壊の防止・化学物質管理の徹底・天然資源の有効利用等)への取り組みを推進します。 -
得意先との信頼関係
私たちは、お取引先様との信頼関係を構築し、相互の成長を目指した持続可能な取り組みを行います。
購買基本方針
アース製薬は、事業活動を支える購買活動において、持続可能な社会の実現に貢献するため、以下の5つの原則に基づき、公正かつ透明性の高い取引を目指します。
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公正な取引と合理性の追求
原材料や資材の調達にあたっては、価格、品質、供給の安定性、技術力、そして信頼性といった多角的な視点から総合的に評価し、公正な競争原理と経済的合理性に基づいてお取引先様を選定します。 -
広く開かれた取引機会
国内外を問わず、また既存の取引実績やグループ企業との関係性に縛られることなく、全てのお取引先様に公平な機会を提供します。常に新しいパートナーシップの可能性を模索し、より良いサプライチェーンの構築を目指します。 -
品質の共創
お取引先様と緊密に連携し、調達するすべての製品やサービスの品質維持・向上に努めます。共に協力し、お客様に安心して使っていただける製品を生み出すことを目指します。 -
社会的責任の徹底
私たちは、「サステナブル調達方針」および「お取引先様行動指針」を遵守します。環境への配慮、人権尊重、労働環境の改善といった企業の社会的責任を購買活動の全てのプロセスに組み込み、推進します。 -
方針逸脱時の対応
本方針から逸脱した不適切な取引が確認された場合、あるいはその疑義が生じた場合、お取引先様に対して速やかに改善の要請を行います。一定期間内に改善が見込まれない場合は、代替となる取引先を検討し、準備が整い次第、見直しを行います。
物流基本方針
アース製薬は、製品をお客様にお届けするまでの物流プロセスにおいても、地球環境への配慮と社会貢献を両立させることを目指しています。以下の7つの原則に基づき、持続可能な物流体制を構築します。
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公正な選定と合理性の追求
輸送および保管業務の委託先を選定する際は、価格、品質、供給の安定性、技術力、信頼性に加え、環境負荷低減への取り組みを総合的に評価し、公正な競争原理と経済的合理性に基づいて決定します。 -
広く開かれたパートナーシップ
既存の取引実績や企業グループとの関係に縛られず、国内外のパートナーに広く門戸を開放します。最適なパートナーシップを常に模索し、効率的でサステナブルな物流ネットワークを構築します。 -
品質と環境負荷低減の両立
お取引先様と密に協力し、輸送および保管における品質向上に努めます。同時に、物流過程で発生する環境負荷(CO2排出量など)を正確に把握し、その削減に向けた取り組みを共に推進します。 -
協調領域としての物流連携
物流を企業間の競争領域ではなく、共通の課題を解決する「協調領域」と捉えます。他社や異業種との連携を積極的に行い、業界全体の物流課題の解決に貢献します。 -
パートナーとの相互啓発
環境や社会面に優れた物流事例を積極的に共有し、具体的な改善アドバイスを行うことで、お取引先様と共に物流の効率化や持続可能性に関する意識向上に努めます。 -
社会的責任の徹底
「サステナブル調達方針」および「お取引先様行動指針」を遵守し、企業の社会的責任を果たす物流活動を推進します。 -
方針逸脱時の対応
本方針から逸脱した不適切な取引が確認された場合、あるいはその疑義が生じた場合、お取引先様に対して速やかに改善の要請を行います。一定期間内に改善が見込まれない場合は、代替となる取引先を検討し、準備が整い次第、見直しを行います。
お取引先様行動指針
アース製薬は、持続可能な社会の実現に向け、サプライヤー様や物流事業者様をはじめとするすべてのお取引先様と、強い信頼関係に基づいた連携を築きたいと考えています。製品の原材料調達からお客様へお届けするまでのサプライチェーン全体で、社会的責任を果たすことを目指しています。この目標を達成するために、私たちはお取引先様に、この「お取引先様行動指針」へのご賛同と遵守をお願いしています。また、皆様の協力業者様にも本指針の精神を広めていただくようご協力をお願いしております。当社は、必要に応じてCSRセルフ・アセスメントや現地視察・監査を実施し、この指針に定められた項目の取り組み状況を確認させていただきます。もし、本指針からの著しい逸脱や、改善の意思が見られない場合には、当社との取引継続について見直しをさせていただく可能性があります。
マルチステークホルダー方針
アース製薬では、多様なステークホルダーの皆様との価値共創が重要と認識し、マルチステークホルダーとの適切な協働に取り組むため、「マルチステークホルダー方針」を制定しました。
パートナーシップ構築宣言
アース製薬では、サプライチェーン全体の共存共栄と規模・系列等を超えた新たな連携に向けた取り組み促進を目的に「パートナーシップ構築宣言」を制定しました。
体制
アース製薬は、持続可能なサプライチェーンを構築するため、全社的な連携体制を確立しています。サプライチェーン全体の機能を統括する執行役員(CSCO)を筆頭に、プランニング部門、調達部門、生産部門、品質保証部門、物流部門などの関連部門が密に連携するネットワークを構築しています。これらの部門責任者が定期的に集まり議論するSCM部門戦略会議では、購買基本方針や物流基本方針、具体的な施策などについて共有・展開します。また、サプライチェーンにおけるサステナビリティの取り組みは、CSCOが参画するCSRサステナビリティ推進委員会とも連携し、全社的な経営戦略と一体となって推進しています。こうした継続的な対話と協力体制を通じて、購買・物流を含む調達活動全体にわたって、持続可能なサプライチェーンマネジメントを推進しています。
影響度の高いお取引先様の特定
アース製薬がお客様へ安全・安心な製品を届け続けるためには、多岐にわたるお取引先様との協力が不可欠です。私たちは、持続可能なサプライチェーンを築くため、以下の基準に基づき、特に重要なお取引先様を特定しています。
- 事業への影響度:当社の事業に大きな影響を与える原材料の調達量や取引高を基準に、主要なお取引先様を選定しています。
- サステナビリティに関するリスク:環境負荷が高い原材料(例:木材、パーム油)や、人権・労働慣行における潜在的なリスクを考慮し、リスクが高いと見なされるお取引先様を特定しています。
これらのお取引先様に対し、私たちは対話を重視しています。将来的には、当社の担当者やCSRサステナビリティ推進委員会のメンバーが直接現地を訪問し、国際的な基準に基づいた監査を実施することを目指し、緊密なパートナーシップのもと協議を重ねていきます。
お取引先様への周知活動
お取引先様に「サステナブル調達方針」および「お取引先様行動指針」をご理解いただき、当社とともにその内容を実践していただくため、次の活動を進めています。
お取引先様自身の取り組み状況の再認識と継続的な向上のために、CSRセルフ・アセスメント質問表への回答を依頼しています。この活動は2017年より実施し、2024年12月現在では、お取引先様209社中189社の原材料メーカー・生産委託先から回答を得ています。
これらのご協力をいただいたCSRセルフ・アセスメント質問表の回答・集計結果をもとに、個別面談などでお取引先様と結果を共有し、社会全体の持続可能な発展の貢献に努めています。今後も新規のお取引先様へ、この活動を継続し、また、間接的なお取引に関しても同方針の主旨に沿った原材料の調達を進めていきます。
CSRセルフ・アセスメントの回答集計結果
| 項目 | 得点率分布 | ||||
|---|---|---|---|---|---|
| A (100~80点) | B (79~60点) | C (59~40点) | D (39~20点) | E (19~0点) | |
| コーポレートガバナンス | 58% | 24% | 11% | 7% | 0% |
| 人権 | 52% | 25% | 12% | 11% | 0% |
| 労働 | 72% | 17% | 8% | 3% | 0% |
| 環境 | 64% | 17% | 11% | 8% | 1% |
| 公正な企業活動 | 61% | 22% | 12% | 5% | 0% |
| 品質・安全性 | 78% | 16% | 3% | 3% | 0% |
| 情報セキュリティ | 70% | 20% | 7% | 3% | 0% |
| サプライチェーン | 45% | 31% | 11% | 13% | 0% |
| 地域社会 | 58% | 24% | 10% | 8% | 1% |
バリューチェーンを通じた取り組み
アース製薬は、事業活動の中で、化学物質やパーム核油由来成分、さまざまな形態の容器や包装材を使用します。健全なサプライチェーンを維持するためには、トレーサビリティや適切に管理された原料の検討など、人や環境へ配慮した調達が重要と考えています。
現在は、容器や包装材の減量化などの省資源化、リサイクル素材の採用など環境に配慮した原材料の調達を推進しています。
また、原材料の納入形態を変更することで省資源化や輸送効率の向上に取り組んでいます。そのためにはお取引先様との連携が重要であり、環境などサステナブル調達に対する考え方を理解していただきながら進めています。
サプライチェーンにおける人権への対応
アース製薬は、サプライチェーンにおける児童労働、強制労働、人身売買などは、国際的に容認できない人権侵害と認識しています。
児童労働の禁止を含む基本的人権への配慮、雇用や求人における差別の禁止、従業員の人権の配慮、紛争鉱物や人権・環境など社会問題を引き起こす懸念のある原材料の使用の排除など、人権に配慮した「サステナブル調達方針」および「お取引先様行動指針」を制定し、「お取引先様行動指針」についてはすべてのお取引先様へ周知を行っています。
調達時の環境負荷削減
調達において、生産現場での包装資材ごみの削減を目指し、さまざまな原材料荷姿の仕様変更を行っています。例えば、以前まで「ブラックキャップ」の製品を調達する際、ピローフィルム*ひと巻ごとに段ボール包装をしていたことにより、大量の段ボールを使用していました。
この問題を解決するため、荷姿を再検討し、パレット上で片段シート(底面・外周)やスチレンシート、ストレッチフィルムで対応することにより廃棄物の大幅な削減が可能となりました。
*ピローフィルム:ブラックキャップ函内の製品を覆っている袋の材料
FSC®森林認証
アース製薬はマテリアリティ「持続可能な調達の推進」において、森林認証紙の使用率を目標に掲げています。
2020年より、「バスロマン」の紙缶を全てFSC®認証紙(適切に管理されていると認められた森林から生産された木材や、適切な森林資源の使用につながるその他の原材料を使用して作られた紙)に変更し、その他の紙製の包材にも順次拡大しています。今後も、環境に配慮した責任ある製品をお客様に提供できるよう、製品開発・原料調達に取り組んでいきます。
パーム油への対応
アース製薬は、パーム油やパーム核由来の原料を調達しています。パーム油生産の背景には、自然環境や気候変動への影響、人権侵害、労働環境問題などのさまざまな課題があることを認識しています。そのため、パーム油およびパーム核由来原料の調達先の選定に配慮し、必要に応じて品質基準に見合った代替原料の検討をしていきます。