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TCFD 提言に基づく情報開示

アース製薬の気候変動対応

取り組み
気候変動は、当社にとってリスクであると同時に新たな収益機会につながる重要な経営課題であると認識しています。気候変動の取組みを積極的にまた能動的に行うことは、中長期的な当社の企業価値向上に繋がるものであると考え、ステークホルダーと適切に協働し、当社のみならず社会全体に利益をもたらすことを目指します。また、こうした取り組みを通して、当社は SDGs やパリ協定で掲げられた目標達成への貢献を目指します。

当社は気候変動関連の財務情報開示の重要性を認識し、TCFD※1 提言への賛同を表明しました。TCFD 提言に即した情報開示を行っていきます。

ガバナンス

気候変動関連のリスクと機会に関する組織のガバナンス

戦略

気候変動関連のリスクと機会が組織の事業、戦略、財務計画に及ぼす実際の影響と潜在的な影響

リスクマネジメント

気候変動関連リスクを特定・評価・マネジメントするために組織が使用するプロセス      

指標と目標

気候変動関連のリスクと機会の評価とマネジメントに使用される指標とその目標

※1 TCFD:金融安定理事会によって設立された気候関連財務情報開示タスクフォース。2017年6月、気候変動の影響を金融機関や企業、政府などの財務報告において開示することを求める提言を公表した。

ガバナンス

取締役会の監督体制

取締役会は、気候変動関連事項のうち、重要事項については、代表取締役社長 CEO から報告を受けています。
取締役会は、自社の戦略・事業計画やリスクマネジメント方針等の見直し・指示にあたり、コーポレートガバナンス推進委員会への諮問を経て、気候変動関連事項を考慮しています。
また、気候変動関連事項に対処するための指標と目標に対する進捗状況については、代表取締役社長 CEO が、取締役会へ報告することで、取締役会による適切な監督が行えるよう体制を整えております。

経営陣の役割

代表取締役社長 CEO は、気候変動関連事項における自社の経営責任を負っています。この責任には、気候変動関連事項の評価やマネジメントが含まれています。
代表取締役社長 CEO は、取締役会による見直し・指示を踏まえて、自社の戦略・事業計画やリスクマネジメント方針等を執行します。

コーポレートガバナンス推進委員会

コーポレートガバナンス推進委員会は、代表取締役社長 CEO を委員長とし、取締役会からの諮問を受け、気候変動関連事項をサステナビリティ課題の一つとして審議し、取締役会に答申します。

ガバナンス体制図

※2本の指でタッチパネルを外に押し広げると画像を拡大できます。

リスクマネジメント

リスクと機会の特定と評価

グループ経営統括本部内に設置された脱炭素経営推進ワーキンググループが、気候変動関連に関する事項を所管し、社内関係部署と協働で気候変動関連リスクと機会の状況を把握します。リスクと機会は、以下2つの影響を考慮し重要性を評価しています。

・ リスクが顕在化する可能性と、その影響の程度
・ 財務影響の程度

代表取締役社長 CEOは、グループ経営統括本部から重要リスク・機会の報告を受け、取締役会に上程します。取締役会の諮問機関であるコーポレートガバナンス推進委員会にて審議された後、取締役会が最終的に当社の重要な気候変動関連リスク・機会を決定します。

リスクへの対応方法および優先順位の策定

特定した気候変動関連リスク・機会への対応方法および優先順位の策定にあたって、脱炭素経営推進ワーキンググループが社内関係部署と協働で、それぞれ軽減・移転・受入・制御といった対応を検討します。またその検討結果をグループ経営統括本部が代表取締役社長 CEO へ報告し、コーポレートガバナンス推進委員会の審議を経て、最終的に取締役会において気候変動関連リスクのマネジメント方針および優先順位が決定されます。

リスク管理プロセス

※2本の指でタッチパネルを外に押し広げると画像を拡大できます。

戦略

シナリオ分析の前提条件

当社は、脱炭素社会への移行にともない、不確実性の高い将来を見据えどのような気候変動関連リスクと機会が顕在化し得るかについて、TCFD提言に基づき、脱炭素への取り組みが進んだ1.5℃のシナリオと現状のまま社会が進んだ場合の現行(4℃)のシナリオをそれぞれ分析し、2030年における事業インパクト評価を行いました。

〈 シナリオ分析の前提条件 〉
   分析対象:アース製薬単体
   分析範囲:原料調達を含めたサプライチェーン全体
   時間軸:短期=1年(単年度計画と同期間)中期=3年(中期経営計画と同一期間)長期=2030年(日本のNDCにおける中期目標と同期間)

移行シナリオ参照シナリオの内容想定した世界観温度帯
IEA NZE 2050 IEA World Energy Outlook 2022で示されている、2050年までに世界がネットゼロ排出を達成し、気温上昇を1.5℃未満に抑制するために、エネルギー需要とエネルギーミックスがどのように変化する必要があるかを示すシナリオ 徹底した省エネ推進により調達電力の半分は再エネ CO2フリーエネルギー創出への技術開発や投資が活発 BtoC企業のサーキュラーエコノミー実現への取り組み加速 再生プラスチックやバイオプラスチックを使用した容器や梱包材が主流 1.5℃
物理シナリオ 参照シナリオの内容 想定した世界観 温度帯
SSP5-8.5 IPCC第6次評価報告書による、産業革命前に比べて21世紀末に世界平均気温が4℃前後上昇するシナリオ 自然災害の激甚化 (ただし2030年時点では、日本を含むアジアにおける暴風雨・洪水や気温上昇は現状の水準に留まり、想定される物理的リスクによる影響は現状と同程度) 慢性的な気温上昇 ⇒ 害虫の生息域や生息時期の変化 4℃

気候変動関連リスク

リスクの分類内容指標財務影響の程度影響を
受ける期間
1.5℃ 現行(4℃)
移行 政策・法規制 プラスチック規制
再生プラスチック・バイオプラスチックへの転換にともなうPET樹脂の高騰
PET樹脂原料不足による当社製品の供給不足または調達単価の急増による原価高騰
売上高減少
コスト増加
▼ ▼ - 中期
長期
GHG排出規制
再エネ由来のCO2フリー電力の調達価格高騰、再エネ賦課金や炭素税によるエネルギーコストの上昇
コスト増加 - 中期
長期
市場の変化 パーム油需給バランス
パーム油由来の原材料高騰による売上原価の上昇や、原材料不足による当社製品の供給不足
売上高減少
コスト増加
▼ ▼ ▼ - 短期
中期
長期
物理 急性リスク 土砂災害
地球温暖化による集中豪雨や台風の激甚化に起因する土砂災害で山に隣接する製造拠点への土砂流入の可能性
売上高減少
コスト増加
- 短期
中期
長期
慢性リスク 気温上昇
熱中症や業務効率低
完了
下を防ぐため、空調の使用期間、時間帯の拡大にともなう電力使用量の増加
コスト増加 - 短期
中期
長期

リスク: ▼ ▼ ▼ (大) ・ ▼ ▼ (中) ・ (小)

気候変動関連機会

機会の分類内容指標財務影響の程度影響を
受ける期間
1.5℃ 現行(4℃)
市場の変化 気温上昇
当社の主要ビジネスである虫ケア用品への需要増および販売期間の長期化に伴う市場規模の拡大
売上高増加 - ▲ ▲ ▲ 短期
中期
長期
製品・サービス 気温上昇
公衆衛生環境が整っていない地域において菌・バクテリアの増加による感染症が深刻化した場合、感染症リスクを解消する方法として当社技術のMA-T SystemⓇ※2を用いた製品が有効
売上高増加 - ▲ ▲ ▲ 長期
レジリエンス 消費者の脱炭素意識
当社製品が環境に配慮したサステナブルなブランドとして認知拡大されていくことで、当社のブランド価値が向上し販売額が拡大
売上高増加 ▲ ▲ ▲ - 中期
長期

機会: ▲ ▲ ▲ (大) ・ ▲ ▲ (中) ・ (小)

※2 MA-T System:必要な時に必要なだけ菌・ウイルスを不活化するため、安心・安全でありかつ高い除菌効果を兼ね備えています。またMA-T Systemは、既存の他製剤で問題となる引火性や持続性の問題が解決できます。さらに、子供へ使えることや全身に使えるため、使用する人やシーンを大幅に拡大することができます。

MA-T Systemとは? (外部サイト)

シナリオ分析(4℃シナリオにおける財務インパクト)

事業へ影響を及ぼす可能性のあるリスクリスク対応策
(影響小)
・自然災害の激甚化
・慢性的な気温上昇
4℃シナリオにおいては、急性・慢性の物理リスクについて分析しました。当社の製造拠点が立地する兵庫県赤穂市のハザードマップでは、「ブラックキャップ」や「ごきぶりホイホイ」等を製造している工場の一部が、土砂災害警戒区域に指定されています。
また、気温上昇による熱中症や業務効率低下を防ぐため、冷房の使用期間、時間帯の拡大や空調負荷の増加が予測され、その電力使用量の増加に伴う電力料金アップが懸念されます。
しかしながら、財務へのインパクトはそれほど大きくないことを確認しています。
■土砂災害

・生産設備や受変電設備の損壊や原材料の滅失・棄損を防止するため、浸水リスクが低い場所への移動などを検討

■気温上昇

・空調設備更新時の省エネ性能が高い機種選定
・建物の新築、改修時の断熱性能向上

事業へ影響を及ぼす可能性のある機会機会実現策
(影響大)
・慢性的な気温上昇
日本国内における平均気温上昇によって、害虫の成育環境が変化します。また、気温上昇により菌・バクテリアが増殖すると、特に公衆衛生環境が整っていない地域においては、深刻な感染症を引き起こすことが想定されます。
これらの環境の変化は、当社の主要ビジネスである虫ケア用品への需要増および販売期間の長期化、これに伴う市場規模の拡大が見込まれるとともに、MA-T SystemⓇ※2を用いた製品が感染症リスクを解消する方法の一つとして寄与すると見込んでいます。
このように、気温上昇に伴う害虫や感染症への対策に有効な製品を提供することは、当社にとって大きな機会となります。
■虫ケア用品

〈活動〉
・販売機会ロスの低減と資本効率の向上を両立する適正な在庫管理体制の構築
・原材料・梱包材の安定調達のため、国内外問わず新規調達先の開拓を進め、複数購買体制を確立

■MA-T SystemⓇ※2適用製品

・日本における社会実装を推進し、除菌市場でのブランド・商品認知を図る

シナリオ分析(1.5℃シナリオにおける財務インパクト)

事業へ影響を及ぼす可能性のあるリスクリスク対応策
(影響大・中)
・パーム油需給バランス
・プラスチック規制

(影響小)
・GHG排出規制
1.5℃のシナリオにおいては、気候変動対策の一環によるパーム油の生産地域の拡張スピード鈍化や、プラスチック規制に伴うPET樹脂の高騰が、当社の原料調達費並びに売上高に及ぼす影響が最も大きいことが分かりました。
このように、気候変動に伴う市場変化や新たな規制による主要材料調達への影響は、当社事業にとってインパクトの大きなリスクです。
一方で、カーボンニュートラルに向けた再生可能エネルギーの調達においては、コスト増加の要因はあるものの、当社にとってそれほど大きな影響は及ぼさないことが分かりました。
■パーム油

・パーム油由来の原材料の安定調達に向けて、需給のひっ迫が想定される原材料の予定購買を実施するとともに、複数購買体制をとりながら国内外問わず調達先の開拓を推進
・パーム油由来の原材料の使用量低減、品質基準に見合った代替原材料の発掘に向けた研究開発・処方変更を検討

■プラスチック

・容器や包装資材など一製品当たりに使用されるプラスチック量を削減
・サプライチェーンの取り組みとして商品のボトルなどプラスチックのリサイクルを検討

事業へ影響を及ぼす可能性のある機会機会実現策
(影響大)
・消費者の脱炭素意識
気候変動をはじめとする消費者の社会・環境に配慮した消費行動に対する感度が今後も引き続き高まっていく市場環境が想定されます。
当社製品が環境に配慮したサステナブルなブランドとして認知拡大されていくことで、当社のブランド価値が向上し、販売額が拡大することが想定されます。
■以下の活動を行うことで、環境に配慮したサステナブルな企業として当社のブランド価値を向上

〈活動〉
・サーキュラーエコノミーへの賛同
・植物由来などサステナブル原材料調達の加速
・CO2 排出量削減のためのリユースまたはリサイクル可能な容器への移行
・ウォーターフットプリント低減への取り組み

■プラスチック

・容器や包装資材など一製品当たりに使用されるプラスチック量を削減
・サプライチェーンの取り組みとして商品のボトルなどプラスチックのリサイクルを検討

アクションの方向性


1.5℃の世界
シナリオ アクション
サステナブルを意識した社会

・原材料コストの高騰
・循環型経済の進展
・プラスチック問題の改善

サステナブルな事業活動の推進

・代替原材料(パーム油由来)発掘にむけた研究開発の推進
・プラスチックの削減とリサイクル
・サステナブルブランドの確立

現行(4℃)の世界
シナリオ アクション
化石燃料依存社会

・気候の変化に起因する自然災害の増加、激甚化
・感染症の拡大
・害虫成育環境の変化

気温上昇に対応した事業活動の推進

・虫ケア用品の安定供給
・当社技術MA-T SystemⓇ※2による感染症対策への貢献

指標と目標

GHG排出量

当社(アース製薬単体)の GHG 排出量は以下の通りです。

対象スコープ 2020年 2021年 2022年
スコープ1 1,890 1,953 1,947
スコープ2(マーケット基準) 3,558 2,701 2,133
スコープ3 - 962,428 974,036
5,448 967,082 978,115

単位:t-CO2 ※2023年7月末現在

目標と目標に対する指標

当社は、以下の目標を設定しました。

  指標 目標 目標年
目標1 スコープ1・2排出量
(エネルギー起源)
2020 年度比 46%削減 2030年
目標2 再生可能エネルギー比率 電力全体の 95% 2030年

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